2013年に発売されたレゴ® マインドストーム® EV3(以下「EV3」)はとても優れた教材で、長年ロボット・プログラミングを学ぶために広く使用されてきました。
しかし、残念ながら、EV3は2021年7月で販売中止となることが発表されました。
今後は、EV3に変わって、小学生~高校生向けのロボット・プログラミング教材の主力となるのが、レゴ® エデュケーション SPIKE™ プライム(以下「SPIKEプライム」)です。
SPIKEプライムは、EV3と比較して、見た目が可愛らしく、ブロックも扱いやすくなりましたが、それ以外にも進化している点がたくさんあります。
この記事では、EV3と比較して、SPIKEプライムが進化した点についてご紹介していきます。
目次
センサーが扱いやすくなり、できることも増えた
SPIKEプライムのセンサーでは、EV3でできなかったことができるようになっていることがあるので、紹介しましょう。
1-1.圧力を測ることができる「フォースセンサー」
EV3で「タッチセンサー」(下の画像の左)とよばれていたセンサーは、SPIKEプライムでは「フォースセンサー」(下の画像の右)という名称になりました。
EV3の「タッチセンサー」では、「押されている」「押されていない」という状態を判別することができました。
一方、SPIKEプライムのフォースセンサーでは、「押されている」「押されていない」という状態だけではなく、「どれくらいの力で押されているのか」を判別できるようになりました(最大10ニュートン)。
下の画像は、SPIKEプライムのフォースセンサーが、7Ntの力で押されていることを示しているものです。
これによって、フォースセンサーの押された強さによって、ロボットの動くスピードや距離を変化させるといったプログラムを作ることができるようになりました。
1-2.ジャイロセンサーが本体に組み込まれて扱いやすくなった
EV3では、本体に相当する「インテリジェントブロック」とは別に、外付けのジャイロセンサー(下の画像の左)がありました。
一方、SPIKEプライムでは、EV3の「インテリジェントブロック」に相当する「ラージハブ」(下の画像の右)の中にジャイロセンサーが組み込まれました。
EV3のジャイロセンサーは、1軸方向の角度と角速度を計測することができました。
それに対して、SPIKEプライムのラージハブに組み込まれたジャイロセンサーでは、X軸・Y軸・Z軸の角度や角速度を計測できるようになりました。
これによって、ラージハブのジャイロセンサーを使って正確に進行方向を変えるプログラムを簡単に作ることができるようになりました。
FIRST® LEGO® LeagueやWROなどのロボット大会で重宝しそうです。
天気予報のデータを使えるようになった
SPIKEプライムでは、下表にある地域の天気予報データを使ってプログラムすることができるようになりました。
例えば、「今日の天気予報を教えてくれるロボット」や「1週間後の予想気温が15度を超えたら模様替えする時期であることを教えてくれるロボット」などを作ることができそうです。
レゴエデュケーションからも、天気予報データを使用するカリキュラムが提供されています。
レゴエデュケーション ユニットプラン「天気予報データの活用」
アイデア次第で、データを活用したロボットの作成ができるようになりました。
ブロックが扱いやすくなった
SPIKEプライムでは、大きなブロックやミニフィギュアが追加されて、大きな構造物やデザイン性のある制作物などが作りやすくなりました。
ストリーミングモードでプログラムを実行できるようになった
EV3では、作成したプログラムを実行するとき、「パソコンやタブレットの実行ボタンを押して即プログラムを実行する」または「ダウンロードしてインテリジェントブロックの実行ボタンから実行する」という2つのモードが用意されていました。
SPIKEプライムでは、これらに加え、ストリーミングモードが用意されました。
ストリーミングモードでは、完成していないプログラムを実行して確認したり、プログラムを実行している途中で別なプログラムを実行したりすることができます。
例えば、下の画像で「ブロック1」をタップするとモーターが動き出し、「ブロック2」をタップするとモーターが止まります。
EV3ではリモコンを作るのが難しかったですが、SPIKEプライムのストリーミングモードを使うと、タブレットやパソコンから操作するリモコンを簡単に作ることができそうです。
Pythonでプログラミングしやすくなった
SPIKEプライムでは、Pythonというプログラム言語でプログラムすることが用意になりました。
パソコンやiPadのアプリで、SPIKEプライムのプロジェクトを作るときに、「ワードブロック(ブロック・プログラミング)」か「Python(テキスト・プログラミング」か選択します。
Pythonを選択すると、下の画面のように、Pythonのテキスト・プログラミングでSPIKEプライムのプログラムを作ることができます。
インターネット上にSPIKEプライムの情報はまだ少ない
EV3と比較すると、まだインターネット上にSPIKEプライムに関する情報が少ない状況です。
EV3であれば、わからないことがあったときに、検索すると、ほとんどの場合解決策が出てきます。
しかし、SPIKEプライムでは、検索しても望むような結果が出てこないことがまだ多いように思います。
これから次第にインターネット上の情報量が増えていくと思われますが、当面は、わからないことがあったときや、うまく行かないときに、自分で解決しなければいけないという状況が続くと思われます。
最後に、SPIKEプライム以外にも、レゴ社はプログラミングを学ぶことができるキットをたくさん販売しています。本ブログでもご紹介しているものがありますので、ぜひご覧ください。
さらに学びたい方に
ここまで説明してきたとおり、SPIKEプライムは組立図やカリキュラムがたくさん提供されているので、プログラミングを学ぶ場合によい教材です。
特に、小学校3〜4年生以上のお子さまにとってはおすすめです。
一方で、SPIKEプライムでは高度なことまでできるので、保護者の方のサポートが必要なシーンもあります。
家でプログラミングを教えるのに自信がない、忙しくて時間がとれないという場合は、教室に通うのも一つの手段です。
本ブログを運営するMYLABでは、ロボット・プログラミングのコースを提供しているプログラミング教室です。
ご自宅で学ぶことが難しいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度教室の体験会にお越しください。