コラム

宮島 衣瑛 第1回「勉強から学びへ」

はじめまして。MYLABのカリキュラム監修をしている、株式会社 Innovation Power の宮島衣瑛です。これから何回かにわけて、MYLABを監修するにあたって大切にしていった価値観や教育観について解説していこうと思います。保護者の皆さんにとって、MYLABでの学びがお子様にとってどれだけ価値があるものなのか、考えていただくきっかけになれば幸いです。

経緯

 MYLABのカリキュラム監修の依頼が来たのは、いまからちょうど半年ほど前のことでした。私はこれまで8年ほど自分の地元でプログラミング道場を主宰・運営していたり、プログラミング教育を専門に研究していたので二つ返事で了解しました。

 

私が運営するプログラミング道場

 

私がプログラミング教育を行う上で大切だと考えている創造的な学びの理論や、子どもたちの主体性を大切にする教室を作りたいと漠然と考えていたことを思い出します。

MYLABカリキュラムの特徴

 MYLABのカリキュラムの特徴は、メンターから提示されたこと以上のことを子どもたちが取り組むことにあると言えるでしょう。多くのプログラミングスクールでは、プログラミングのスキルそのものを習得することを目的としているため、どうしても教えるー教わるといった関係が固定化されてしまいます。しかし、プログラミングが本来持つ「ものづくりの自由さ」や「創造性」といったものがどうしても失われがちです。テキストを見てプログラミングをしたとしても、テキスト以上のものは作れないのです。

 

 この問題を克服するためには、そもそもプログラミングを「勉強する」といった受身的な発想から抜け出さなくてはなりません。それは、子どもたちにとってもそうですし、教室のメンターにとっても同じことが言えるでしょう。メンターは子どもたちにとってわからないことを教えてくれる人ではなく、一緒に考えてくれる人であり、良き理解者であるべきです。ここに「教えるー教わる」といった関係はありません。

 

 もともと「勉強」という言葉は、「勉めて強いる」という言葉を語源にもつと言われています。これは、大変なことを嫌々やる、という意味です。勉強はもともと嫌々やるものだったのです。勉強に対応する言葉が「学び」です。学びとは、常に主体的かつ創造的に行われるものです。子どもたちにとってどちらが楽しくできるかは一目瞭然でしょう。

創造的な学び

 世間はいま空前のAIブームと言われています。将来の子どもたちはプログラミングができないと就職できないのではないか、そういった声も聞こえてきます。しかし、プログラミングは誰かに言われて嫌々やるものなのでしょうか。私たちは、そういった関係は好ましくないと考えています。プログラミングは子どもたちの表現の幅を広げるツールです。

 

子どもたちはデジタルテクノロジーを通じて自分自身を表現していきます。そして、ものを作っていく中で多くのことを学んでいくのです。このような学び方を「創造的な学び」と言います。

 

クリエイティブラーニングの図

 

創造的な学びは、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授が提唱する、創造時代を生き抜くために必要となる学び方です。レズニック教授は教育用プログラミングツールとして世界中で使われている Scratch の開発者でもあります。レズニック教授は、創造的な学びに必要な要素として、以下を上げています。

  1. Project(取り組むこと)
  2. Passion(情熱)
  3. Play(遊び)
  4. Peers(仲間)

それぞれの頭文字をとって、これらは4つのPと呼ばれています。MYLABでは、この4つのPをどうしたら子どもたちの学びの中に自然と生まれるかを考えてカリキュラム設計をしています。それは体験レッスンでも同じです。今はなかなか大人数でわいわいしながらプロジェクトに取り組むことが難しくなっていますが、オンラインツールなどを使うなど試行錯誤を繰り返しながらすすめているところです。

まとめ

 MYLABでは、プログラミングのスキル面はもちろんのこと、子どもたちの創造性を育むことを阻害しないレッスンを心がけています。それは扱っていく内容はもちろんのこと、メンターと子どもたちとの関係性や、メンター同士の関係の中で作られていくものです。「私の実験室」という言葉通り、子どもたちひとりひとりにとっての新しい学びが次々と生まれる場になるでしょう。

宮島 衣瑛(みやじまきりえ)
株式会社 Innovation Power 代表取締役社長CEO
学習院大学大学院人文科学研究科教育学専攻博士前期課程

1997年5月生まれ。プログラミング教育を始めとするICT教育全般についてのR&D(研究開発)を行っている株式会社 Innovation Power のCEO。2017年4月より柏市教育委員会とプログラミング教育に関するプロジェクトをスタート。市内すべての小学校で実施するプログラミング学習のカリキュラム作成やフォローアップを担当。2017年11月より一般社団法人CoderDojo Japan理事。大学院ではコンピュータを基盤とした教育について研究している。