ロボット教室にお子さまを通わせはじめて1~2年たつと、「それなりにできることも増えてきたし、いまでも楽しく教室に通っているけど、今後も続けさせたほうがよいのかな?」と迷うことがあると思います。
そんな時におすすめなのが、ロボット・プログラミングの大会に出場することです。明確な目標ができることでモチベーションが上がりますし、大会の難しい課題に取り組むなかで、ロボット制作やプログラミングのスキルも向上させることができます。
特におすすめなのは、世界最大級のロボット競技会「FIRST®︎ LEGO®︎ League」です。
この記事ではFIRST®︎ LEGO®︎ Leagueの特徴と、出場することで得られる学習効果について説明していきます。
ロボット・プログラミングを学習しているお子さまで、さらにステップアップをお考えの方におすすめの内容になっていますので、ぜひご覧ください!
FIRST®︎ LEGO®︎ Leagueとは?
FIRST®︎ LEGO®︎ League(以下「FLL」)は、アメリカで科学教育を行っているNPO「FIRST」と、レゴブロックをつくっているデンマークの玩具メーカー「LEGO社」が主催しているロボット競技会です。
直近のFLLでは、世界中から約84,000チーム、69万人の子どもが参加した世界大級の競技会です。
日本では地方大会・全国大会があり、勝ち抜くと世界大会に出場することができます。
FLLは、小中学生年代で世界にチャレンジする経験ができる貴重な大会です。
私たちプログラミング教室MYLABのチームも大会に参加していますので、その様子は下記の記事をご覧ください。
FLLの競技種目
FLLは、4種目の競技種目の総合得点で競います。いわゆるロボコン(ロボット競技)に加え、3種類のプレゼンテーションがあります。
(競技種目1)ロボットゲーム
ロボット競技では、2分30秒で15前後のミッションをクリアすることを求められる難易度の高いロボコン競技です。高いロボット制作の技術やプログラミングのスキルが求められます。
FIRST®︎ LEGO®︎ League 2021-2022シーズンロボットゲームルールブックより
【ロボット競技の様子】
3種類のプレゼンの内容は、以下のとおりです。
(競技種目2)イノベーションプロジェクト
世界が直面する社会問題をテーマに、自分たちのチームが解決する課題を特定し、解決策を制作し、人に使ってもらい、フィードバックを受けて改善したプロジェクトについてプレゼンします。
【プレゼンテーションのイメージ】
(競技種目3)ロボットデザイン
作成したロボットの機構やプログラムに加え、競技にのぞむ戦略などについてプレゼンします。
約15種類のミッションを、2分30秒ですべてをクリアすることは難しいので、どのミッションに取組、どのミッションには取り組まないのかといった戦略も重要になってきます。
(競技種目4)コアバリュー
チームワークを育むために行ったことや、自分たちのチームが大事にしてきた価値観など、自分たちのチームそのものについてプレゼンします。
FIRSTでは、以下のようなコアバリューが掲げられています。
FIRSTのコアバリューチームはコアバリューを学び、新たな発見とチームワークを楽しみながら活動します。
- ディスカバリー(発見): 私達は、新しいスキルとアイデアを発見します。
- イノベーション(革新): 私達は、想像力と粘り強さで問題を解決します。
- インパクト(影響): 私達は、学んだことを応用して世の中を良くしていきます。
- インクルージョン(包括):私達は、お互いを尊重し互いの違いを受け入れます。
- チームワーク(協力): 私達は、力を合わせることで強くなれます。
- ファン(楽しみ): 私たちは活動を楽しみ、大会で成果を祝い合います。
FLLでは、4つの競技に取り組む中で、ロボットづくりの物理的な機構やプログラミングのスキルが身につくのに加え、プレゼンテーションや仲間と協力して一つの物事を成し遂げるスキルなども身につける事ができます。
競技会の概要
2020/2021シーズンの大会を例に、詳細をご紹介します。なお、2020/2021シーズは、コロナの影響により、オンラインにて大会が実施されました。
公式サイト | https://firstjapan.jp/program/challenge/ |
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スケジュール | 大会キックオフ「FIRST MEETUP」:2020年8月9日 参加登録期間:2020年8月11日~10月31日 予選大会:2020年12月6日・12日・13日 ※いずれかの1日に参加 全国大会:2021年2月14日 |
カテゴリーと出場資格 | FIRST LEGO League Challenge:小学4年生~高校1年生 |
チーム構成 | 1チーム 2人~10人 |
競技種目 | 【ロボット競技】 2分30秒の競技を3回実施【プレゼンテーション】 合計13分以内の動画を事前に提出 ・コアバリュー(3分) ・イノベーション・プロジェクト(5分) ・ロボットデザイン(5分)」当日はライブでの質疑応答を行う。 |
参加費用 | 地方大会:32,000円(税別) 全国大会:18,000円(税別) |
大会参加に必要な備品 | 「教育版レゴⓇマインドストームⓇEV3」または「レゴⓇエデュケーションSPIKETMプライム」 |
NPO法人 青少年科学技術振興会 FIRST Japanのホームページに、FLL参加にあたっての詳細が掲載されています。
ルールの変更がある可能性があるので、実際に出場する際は、必ず出場する年のルールを確認して下さい。
FLL2020/2021シーズンのプレゼンテーション評価基準
FLLのプレゼンテーションは、評価基準が公表されています。参考までに、評価基準をご覧ください。
NPO法人 青少年科学技術振興会 FIRST Japan「FLL Challenge 2020-2021」より
FLLで得られる8つの学習効果
FIRSTでは、FLLを通して以下のような教育効果が想定されています。
FLL Challengeの教育的効果数か月間のチーム活動を経験することで、コミュニケーションの重要性を知り、協調性や論理的思考、討論の仕方、スケジュール管理といった今後の人生において必要なスキルを育みます。またシーズンテーマを探求することで、世界の諸問題、科学の重要性、国際協力、様々なコミュニティとの関わりの必要性を学び、社会性を身につけていきます。
以下では、FLLを通して得られる学習効果について、具体的に説明していきます。
ロボット・プログラミングのスキル
ロボット競技に挑むロボットを作る中で、「物理的に動く複雑な機構」と「高度なプログラム」を制作するスキルが身につきます。
2分30秒で、約15個のミッションにチャレンジします。
ミッションは、ロボットの位置を正確に制御する必要があります。また、物を運んだり、モーターでアームを動かしてミッションのブロックを動かすなど、複雑な動きが求められます。
こうしたミッションに取り組む中で、ロボット・プログラミングのスキルが向上していきます。
実際のロボット競技の様子は下記の動画を御覧ください。
他者と協力するスキル
FLLでは、他者と協力するスキルが身につきます。
小学生年代では、人と協力してチームで何かを成し遂げる機会はあまり多くはないので、貴重な経験となります。
FLLでは、チームで協力して一つのロボットやプレゼンを作り上げるので、その過程で、人と協力するスキルが身につきます。
チームで一つのロボットやプレゼンを作り上げるので、チームのメンバーと意見がくいちがったり、対立したりする事もありますが、こうした対立や失敗を乗り越える中で、他者を尊重したり協力したりするスキルが身についていきます。
粘り強く取り組む力
FLLの課題にチャレンジする中で、粘り強く取り組む力が育まれます。
なぜなら、FLL課題は、ロボット競技もプレゼンも難易度が高く、簡単に正解にたどりつけるものではありません。制作したロボットや開発したソリューションを実際にテストして、何度も何度も粘り強く修正することが求められます。
こうした活動の中で、物事に粘り強く取り組む力が養われます。
課題発見・課題解決能力
イノベーションプロジェクトに取り組む中で、課題を発見し、解決するための能力が身につきます。
FLLでは毎年、世界にある社会課題の中から、主催者が設定したテーマが与えられます。イノベーションプロジェクトでは、そのテーマに沿って、自分たちが取り組む課題を設定し、その解決策をつくり、プレゼンします。
2021-2022シーズンのテーマは物流でした。
MYLABの代表チームでは、「配達で指定できる時間が2時間単位と長く、配達も遅れることもあっていつ届くのかわかりにくい」という課題の解決にチャレンジしました。
Uber Eatsのアプリなどを参考に、あとどれくらいで荷物が届くのかわかるようなアプリのプロトタイプの制作にチャレンジしました。
こうした活動の中で、課題発見と課題解決の能力が養われます。
調査・研究スキル
イノベーションプロジェクトでは、一つのテーマを深く探求していく中で、調査・研究のスキルが身につきます。
FLLでは、インターネットや文献にあたって調べたことをまとめるといった活動にとどまらず、実際に社会に出て人の話を聞いたり、自分たちがつくった解決策を人に使ってもらって、フィードバックをもらう経験をします。
MYLABチームでは、上記の通りあとどれくらいで荷物が届くのかわかるようなアプリのプロトタイプの制作にチャレンジしました。
しかし、実際にドライバーさんに感想を聞いたところ、「最短時間で荷物をとどけるために、近くを通っても配達できないことがあるので、ドライバーの位置がわかるようなアプリではかえってクレームが出るのではないか」というフィードバックがあり、振り出しに戻るということがありました。
メンターのサポートを受けながら、子供たちは調査・研究のスキルを身につけていきます。
プレゼンテーション能力
3つのプレゼンテーションを作成・発表するなかで、プレゼンテーションの能力が身につきます。
本格的なプレゼンをするのははじめてという子どもも多いと思いますが、試行錯誤の中で、プレゼンスキルが身についていきます。
FLLのプレゼンでは、パワーポイントのスライドや動画を使うことができます。また、自分たちのチームをプレゼンするコアバリューでは、演劇のような発表をするチームもあります。
こうした活動の中で、自分たちが考えたことを、最も良く表現する方法を学んでいきます。
時間管理能力
FLLに取り組む中で、子供たちは時間管理能力を身につけていきます。
なぜなら、FLLの課題は大量なので、大会に間に合わせるために、効率的な時間の使い方や管理の方法を学ぶ必要があるからです。
その年の課題が発表されるのは、8月の上旬です。そこから、12月の地方大会までに、ロボットと3つのプレゼンを作り上げなければいけません。
ほとんどのチームは、時間が足りないと感じることでしょう。
こうした活動において、限られた期間で時間を管理しながら、効率よく作業する方法を学ぶことができます。
英語で表現する能力
副次的ですが、FLLでは、英語の能力も身につきます。
FLLでプレゼンするとき、国内大会は日本語ですが、世界大会では英語でのプレゼンとなります。
世界大会に出場することになったら、プレゼンを英語に翻訳したり、英語で発表しなければいけません。
【英語でのプレゼンテーションの様子】
英語の勉強は嫌いでも、自分の好きなロボットの大会のためなら、子供たちは自ら進んで英語を勉強するでしょう。
こうした経験の中で、英語で表現する能力も身につけていきます。
MYLABのFLLコース
MYLABでは、2021年度より、FLLにチャレンジするコースのご提供を開始致します。
2021年度は、特別講師として宮島 衣瑛さんをおむかえします
MYLABのFLLチャレンジコースでは、MYLABのカリキュラム監修も担当してくださっている宮島 衣瑛さんが特別講師を努めて下さいます。
宮島 衣瑛(みやじまきりえ)
株式会社 Innovation Power 代表取締役社長CEO
1997年5月生まれ。プログラミング教育を始めとするICT教育全般についてのR&D(研究開発)を行っている株式会社 Innovation Power のCEO。2017年4月より柏市教育委員会とプログラミング教育に関するプロジェクトをスタート。市内すべての小学校で実施するプログラミング学習のカリキュラム作成やフォローアップを担当。2017年11月より一般社団法人CoderDojo Japan理事。大学院ではコンピュータを基盤とした教育について研究している。
宮島さんは、自身も小学生の時にFLLの全国大会に出場した経験があり、プログラミング教育に造詣の深い方です。
宮島さんの指導の元、ぜひ世界にチャレンジしましょう!
大会に最適化したMYLABの特別カリキュラム
MYLABのFLLチャレンジコースは、大会に最適化された特別カリキュラムとなっています。
過年度のロボット競技のフィールドを使って、ロボット・プログラミングのトレーニングを行います。
また、プレゼンテーションでは、公表されているFLLのプレゼンテーションの評価基準を参考にしつつ、子どもたちの将来に役立つ調査・研究能力や表現力を養っていきます。
1年で2大会分のミッションを経験できる年間スケジュール
例年、8月上旬に、そのシーズンの課題やルールが正式に発表されます。4月~7月までは、過去の大会のテーマを題材に、ロボット・プログラミングのスキルアップ、イノベーションプロジェクトの調査研究手法の学習、チームビルディングを行っていきます。
また、8月~12月にかけては、それまでの学びを生かし、当該年度のミッションにチャレンジしていきます。
レッスンは週に1回ですが、フリースペースの利用は時間制限がなく、メンター陣のサポートを受けながら活動することができます。